弘前のリンゴ農園「もりやま園」(弘前市緑ヶ丘)で7月14日、「テキカカ収穫祭」が開かれ、周辺住民や県外からも参加者が集まった。
「テキカカ収穫祭」はもりやま園が主催する、地域との交流を目的とした初めてのイベント。参加者たちは摘果(てきか)と呼ばれる農作業を体験した後、園内で生産されたシードルやりんごジュースを味わいながらトークセッションや焼き肉を楽しんだ。
もりやま園は100年以上続き、現社長の森山聡彦さんは4代目。8.7ヘクタールの園内の木にそれぞれ識別用のQRコードを付けた個別の育成管理や、蓄積したビックデータを利用するための果樹栽培に特化したアプリケーションを開発するなど、国内でのリンゴの大規模産業化への取り組みを行っている。
「イベントの構想は前からあったが人出が足りず、弘前大学からインターン生を2人受け入れて企画した」と森山さん。インターン生の鎌田翔至さんは「イベントの企画ができるインターンと知人から紹介してもらった。大変なことも多かったが、参加者が楽しんでいる様子を見て3カ月間が報われた」と振り返る。
摘果とは、多くできてしまった実を摘み取って大きく育てる実を選出する作業で、摘み取られた果実を摘果果(てきかか)と呼ぶ。同園では摘果果を利用した「テキカカシードル」(330ミリリットル=615円)を販売しており、7月16日に発売した新商品「テキカカアップルソーダ」(330ミリリットル=486円)を会場で発表した。
森山さんは「渋くて酸っぱい摘果果を使うことで、すっきりとした酸味が特徴で、普段の食事に合うものに仕上がった」と自信を見せる。「フランス産シードルの材料になっているリンゴを食べてみたら渋かった。渋いリンゴからおいしいシードルが作れるなら、摘果果でも作れそうだと考えた」と話す。
「多くのリンゴ農家は捨ててしまう摘果果を利用するということを広めていきたい。リンゴの新しい産業として築いていきたい」と今後の目標を語る森山さん。「収穫祭のようなイベントは今までずっとやってみたかった。付き合ってくれたインターン生には感謝している」とも。
商品は量販店や土産店のほか、もりやま園オンラインショップでも販売している。