青森・弘前の収穫が終わったリンゴ畑で「木守(きも)り」が見られるようになった。
「木守り」は収穫の最後に一つ残しておくリンゴの果実を指し、収穫の感謝をささげるとともに来年の豊作を畑の神様にささげる風習。「きまもり」とも呼ばれ、津軽地方では「鳥っこさあげるりんご」として野鳥たちへの餌として残している農家もいる。
津軽地方ではリンゴの収穫が8月に始まり、晩生種は11月下旬まで続く。今年は台風や天候などによる大きな被害は無かったものの、実の表面や葉に黒い斑点ができる「黒星病(くろほしびょう)」がまん延し、農家らは対応に追われた。
「木守り」に店名が由来しているという「弘前シードル工房kimori(きもり)」(弘前市清水富田、TEL 0172-88-8936)を経営する「百姓堂本舗」の高橋哲史さんは「リンゴ農家が必ずしも『木守り』を残しているわけではないが、ポツンと残ったリンゴを見かけたら、農家が思いを込めて1年間かけて育てたリンゴと思ってもらえればうれしい」と笑顔を見せる。