青森県五所川原市で6月21日、奇祭と呼ばれる「奥津軽虫と火まつり」が、開催され、訪れた観客たちを沸かせた。
同祭りは病害虫から身を守り、豊作を祈る津軽地方の伝統行事。田植え後の祝いが行事の起源とも。全国各地で行われていた「虫送り」という農作物を虫害から守る風習を、同市では祭りとして毎年6月の第3土曜日に行っている。
主催する五所川原青年会議所によると、人間の世界に迷い込んだ虫を殺すのではなく、虫が住んでいる世界に送り戻すことが「虫送り」。火まつりは目に見えない悪い物や心を清める儀式という。
祭りでは、高さ10メートル近くある「虫」を模した竜型の山車2台が登場。大きさ3メートルほどのたいまつに火をともし、参加団体が同市中心市街を練り歩いた。メーン会場の岩木川河川敷では、囃子(はやし)の演奏や伝統舞踊などを披露。ハイライトの「河原神事・虫の昇天」では、運んできたたいまつをお焚(た)き上げ所で燃やし、会場奥に設置した竜型の虫を燃やし閉幕した。
「津軽地方の虫送り」は無形民俗文化財に指定されており、県内でも行われている地域は少ない。