青森を訪れた旅行者が10月29日のXに投稿した「ツキノワグマを食べた」ポストが現在、SNS上で話題を集めている。
投稿主は神奈川県在住のXアカウント「ヤギ」さん。道の駅「よこはま」(青森県上北郡横浜町)で開催していたイベントに立ち寄った際食べた「クマ肉の串焼き」を写真付きで「ツキノワグマを食べた」と投稿したところ、1万6000以上のリポスト、8万以上のいいねが寄せられた(10月31日20時現在)。「ヤギ」さんは「想像以上の反響に驚いたが、何よりも今まで食べたクマ肉とは違い、臭みがなくジューシーでおいしかった」と話す。
「ヤギ」さんが食べたクマ肉は、中津軽郡西目屋村にある公共施設の管理運営事業「白神公社」が販売した串焼き。味付けには「上北農産加工」(十和田市)の看板商品「スタミナ源たれ」を使っていた。イベント当時は2本=800円で販売した。
白神公社では2020年からジビエ加工事業を始め、食肉加工施設「ジビエ工房白神」を開設。捕獲した鳥獣を処理する加工施設は青森県内で第一号で、西目屋村で捕獲したクマを食用肉に加工する。可食部分は「クマカレー」「クマ丼」など料理の材料に使われ、皮などはやクマ革を使ったストラップや財布として商品化し、主に道の駅「津軽白神」(西目屋村)で販売している。
白神公社の角田克彦支配人は「ジビエ事業を始めて5年目。県外にクマ肉を販売しに行ったこともあるが、こんな形で注目を集めるとは思ってもいなかった。SNSの発信力は想像以上で当社のホームページのアクセス数が倍増している」と話す。
角田さんによると、西目屋村でも今年のクマの出没件数は例年より多く、今年はすでに40頭以上のクマが捕獲されているという。「昨年は8頭のクマを捕獲し、2023年は80頭だった。5年周期と言われるブナの凶作だが、年替わりで訪れているようだ」と角田さん。「捕獲数が安定しないため、供給量も安定しないのが現在の課題」とも。
SNSの反応をじっくりと読み込んだという角田さんは「うれしかったことはクマ肉のおいしさが伝わっている点。当社のクマ肉は保健所が許可した加工施設で下処理しているだけでなく、3~4日熟成している。クマ肉は熟成することで臭みがなくなり、うまみが増す」と自信を見せる。
角田さんは「クマ肉の串焼きはイベント限定商品なので、話題になったことをきっかけに西目屋村で通年提供できるようにしたい」と意欲を見せる。