青森県弘前市は、今秋から弘前城の天守真下にある石垣の修理を開始する。約100年ぶりの大改修となり、弘前城を代表する撮影スポットの一つが約10年間は見られなくなる。弘前城のある弘前公園は、例年200万人以上が訪れる全国有数の桜の名所として有名だ。
城を解体せずに動かすという大規模な工事のため、全国からも注目されている
修理は、石垣が外側に膨らむ「はらみ」が見られるようになったため。大地震などが発生した場合、崩落の危険もあると指摘されていた。修理に伴い、高さ14.4メートル、総重量約400トンの3層からなる弘前城天守を曳家(ひきや)と呼ばれる工法で解体せずにそのまま移動する。
曳家は2015年の夏には開始し、現在の場所から北西70メートルほどを約3カ月かけて移動する予定。その後、天守真下から本丸東面約100メートルと南面の約10メートルの石垣を修理する。
弘前城の天守は江戸時代に建築し、現存する天守としては東北地方で唯一。1896(明治29)年には天守台下の石垣が崩壊したため、弘前城を西側へ曳屋したことがあった。
今年の秋には準備のため、天守下にある内濠(うちぼり)を土で埋め立てる。仮設道路と作業場を設置するため、美しい撮影スポットが見られるのは今季限り。内濠の水面に映りこむ弘前城天守と桜や、桜のじゅうたんと呼ばれる水面に桜の花びらが広がる光景も、今年の春を最後にしばらく見られなくなる。