ホテルナクアシティ弘前(弘前市大町)で1月30日、「弘前大学COIイノベーション・サミット」が開催される。
昨年実施した「岩木健康増進プロジェクト健診」。10日間で延べ約1,200人が検診に参加した
「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」とは、文部科学省と独立行政法人科学技術振興機構が大規模な産学連携を支援する取り組みで、2013年度から始まった。最長9年間で最大90億円を支援する同プログラム。弘前大学の提案した「脳科学研究とビッグデータ解析の融合による画期的な疾患予兆発見の仕組み構築と予防法の開発」は、全国190件の募集案件の中から採択された12件の中に選ばれた。
「認知症をはじめとする現代病の予兆の発見や予防法は、一つの因子からでは解明できない」と話すのは、弘前大学COI研究推進機構(医学研究科)教授・戦略統括の村下公一さん。「約600項目の健診データを今後10年間にわたって取り続ける世界に例のないビックプロジェクト」の背景には、同大社会医学講座教授で中路重之医学研究科長が10年前から始めた「岩木健康増進プロジェクト」があったという。
同プロジェクトは弘前市岩木地区(旧岩木町)で、中路さんを中心に地域住民に密接な健康啓発活動や健診などを実施していた。「健康に関することは互いの信頼関係がなければ扱えない。中路先生の活動はすでに地域に密着し信頼関係が構築されていた」と村下さん。「この実績が医療機器大手のGEヘルスケア・ジャパンとの連携につながった」と自信を見せる。
昨年5月から6月にかけ10日間にわたって行った健診には、医療スタッフ総勢200人が岩木地区の体育館に集まり、1人あたり4~6時間もかかる健診を実施した。「地元住民の理解や、国家的プロジェクトにもかかわらず地元企業などにも協力してもらっている点も弘前大学の特徴なのでは」と村下さんは話す。
同サミットでは、COI採択元年となった2014年度の報告のほか、他エリアのCOIの発表、産学官トップの出席者などによるディスカッションを予定している。サミット後には交流会があり、出席者らとの交流も図れる。「1年目の実績を弘前市民にさらに知ってもらい、地方都市で行われている国家的プロジェクトに誇りを持てるようになれば」と村下さんは参加を呼び掛ける。
開催時間は13時~17時。入場無料。サミット後の交流会は19時からで、参加費は3,000円。