青森県下北半島に位置する佐井村(村長:太田直樹)と、再生可能エネルギーのプラットフォーム「みんな電力」を運営する株式会社UPDATER(本社:東京都世田谷区、代表取締役:大石英司)は、2025年8月7日、GX(グリーントランスフォーメーション)およびSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)の包括連携協定を締結し、佐井村役場にて調印式を実施しました。
本協定は、脱炭素を基軸に、再生可能エネルギーの利活用、地域資源の循環活用、人材育成、都市との連携強化などを通じて、佐井村のゼロカーボンシティ実現と持続可能な地域経済の形成に貢献することを目的としています。
【調印式の概要】
日程:2025年8月7日(木)午後2時~
場所:佐井村役場 2階 村長室
出席者:佐井村 村長 太田直樹
株式会社UPDATER 代表取締役 大石英司

国の「地域脱炭素ロードマップ」では、2025年までに少なくとも100地域の脱炭素モデル地域を選定し、2030年までに先行的な取り組みを全国へ波及させることが掲げられています。
佐井村は、2023年2月の第3回募集で「脱炭素先行地域計画提案書」を提出し、同年4月28日に青森県初、かつ全国の漁村で初となる「脱炭素先行地域」の認定を受けました。
この計画の中核を担うのが、村が2021年に設立した地域新電力「株式会社さいエナジー」です。UPDATERは、同社の支援を行ってきたほか、2025年には資本参加も行いました。
またUPDATERは、再エネ供給にとどまらず、ブロックチェーンを活用した電力トラッキング、ウェルビーイングやエシカル消費といったSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)支援にも取り組んでおり、村のビジョンとの親和性が高いことから、今回の協定締結に至りました。
両者はこれまでも連携実績があり、2024年に東京都世田谷区で開催された「下北de下北半島フェス2024」では、下北半島の再生可能エネルギーをUPDATERがブロックチェーンで証明し、下北沢のイベント会場に供給するという取り組みを実施。ウニやホタテといった佐井村の食材を活用し、五感で感じる再エネをテーマに、都市部の方が地域とその資源を「オモシロく」実感できるイベントを共催しました。

▲下北de下北半島フェス2024の様子
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再生可能エネルギーの創出と利活用拡大(村内の太陽光・風力などを活かした供給モデルの構築)
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省エネ・バイオマス・廃棄物の循環利用(漁業廃棄物や未利用資源の活用による地域循環型社会づくり)
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人材育成・知見の共有(職員・社員の相互交流、地域学習プログラムの展開)
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都市連携・ブランド発信(再エネ・食・文化資源を都市へ届ける地域ブランド戦略)
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その他、相互に必要と認める持続可能性に資する事業
地域にとっての意義
佐井村にとって本協定は、脱炭素の推進にとどまらず、エネルギーを起点にした新しい地域のかたちづくりを模索するスタート地点となります。産業、教育、文化、観光といった多領域に再エネを接続することで、「選ばれる地域」「持続する地域」の実現に向けて動き出します。
今後の展望と課題
本協定を通じて、UPDATERと佐井村は脱炭素とサステナビリティの両輪による地域課題解決を目指します。今後は、地域内での再エネ導入率を93.6% まで引き上げることや、地域外への電力連携事業の本格化、環境教育コンテンツの実装、災害時対応を視野に入れたEVバス×再エネインフラの拡充などを検討しています。
一方、現時点での課題として、地域住民の参加促進、再エネ設備の導入コスト、事業財源の確保、電力需給調整能力の強化などがあり、今後の取り組みにおいて令和12年度 までに段階的に整備を進めていく計画です(詳細は今後協議予定)。
佐井村・太田村長 コメント
株式会社UPDATER様と当村が脱炭素社会の実現と再エネ推進に向けて包括連携協定を締結させていただく運びになりましたこと、深く感謝申し上げます。政府が掲げる脱炭素社会の実現という大きな目標を当村のような小さな自治体が解決するためには、関係機関の皆様との連携は不可欠です。
国内外に環境問題や地域課題に取り組む企業がたくさんありますが、私はその中でも、自分だけでなく、みんな一緒に成長していこうという思いやりの心を事業経営の柱に添えているUPDATER様と、この度包括連携協定を結ばせていただいたことに本当に喜びを感じています。
大石社長は、様々な分野の方と対談をされていますが、その中で、ただの消費ではなく思いやりのある消費をしていきたいというお話をされていたのを見ました。これは、佐井村が赤十字の里づくりの一環として、人に優しく共に生きる社会を目指していることや、日本で最も美しい村連合に加盟し、目に見えるものだけでなく、目に見えないものを見える化し、心の美しさを追求しようとする当村の理念にも通じるものを感じています。
私も、ただ脱炭素、再エネの取り組みに取り組むだけではなくて、思いやりのある脱炭素、再エネの取り組みがしたいと考えています。今回の協定締結で、当村の脱炭素と再エネの取り組みがより加速し、厚みを増すことを確信していますが、私はもう1つ期待をしていることがあります。
それは、村の職員とUPDATER様の社員交流を通して、お互いの持っている知見を共有し、課題解決能力の向上や人材育成にもつながるのではないかと思っています。いただいたご縁を大切にしながら、これからしっかり育てていきたいと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。
株式会社UPDATER・大石代表 コメント
太田村長からもお話がありましたように、私も約4年間にわたりご縁をいただき、こうして本日を迎えられたことを、心からありがたく思っております。
弊社UPDATERの本社がある東京・三軒茶屋では、わずか5分ほど歩くだけでくらくらするような猛暑が続いています。私たちは「脱炭素経営」の観点から、10年以上にわたりこの分野に取り組んでまいりましたが、近年特に、気候変動による影響の深刻化を、日々の体感を通じて強く実感しています。
これまで当社は、全国で2300社以上の企業・自治体の皆様とともに、脱炭素の取り組みを推進してきました。こうした中で蓄積してきた知見やノウハウを、この本州最北端の地域である佐井村の皆様と、共有し、実装していくことに大きな意義を感じています。佐井村での取り組みが、これまでの気候変動対策の集大成となり、「脱炭素先行地域」のモデルケースとして全国に示すことができると思っています。
脱炭素は、単にCO2を削減するだけではありません。都内では「気候変動時代の働き方」や「学校教育のあり方」など、複雑で、多様な課題が浮かび上がっています。これからの社会では、単一のテーマではなく、複雑で多様な課題が同時に顕在化していくでしょう。
その意味でも、太田村長がおっしゃったように「顔の見える関係性」を大切にし、柔軟な交流を重ねていくことが、これからの課題解決に不可欠だと感じています。変化の激しい時代においてこそ、しなやかな連携が重要です。
最後になりますが、私自身、佐井村に何度も訪れる中で、地域の美しさ、そして村の皆さんの想いに深く感銘を受けました。全国の自治体とさまざまな協業を進めておりますが、成功の鍵はやはり、村長のリーダーシップや職員の皆様の熱意、そして何より「腹を割った対話」ができる関係性にあります。
この「顔の見える関係性」こそが、今回のご縁の出発点であり、佐井村の魅力に私たち自身が惹きつけられた理由でもあります。そして、実際に交流を重ねる中で、佐井村にはまだ知られていない「宝」が本当にたくさん眠っていることに気づかされました。
私たちは、こうした宝の「顔の見える化」を通じて、企業やメディアなどの皆様と連携しながら、広く発信していきたいと考えています。そしてその先に、多くの「関係人口」が生まれていく。そのプロセスに、ぜひ弊社としても貢献していければと願っております。
本日は本当にありがとうございました。

佐井村は青森県下北半島の西側に位置し、津軽海峡に沿って南北を底辺とする細長い三角形をなし、人の顔で例えるなら“下北半島の顔”を構成する部分となります。天然の良港に恵まれた佐井湊は、鬱蒼と生い茂った豊富な南部檜(ヒバ)による交易により、室町時代から諸国の商船(北前船)で賑わい、江戸時代後期には、江戸・京都・大阪までヒバの積み出し港として栄え、交易による商業の町、文化の町として発展し繁栄を極め、この時代の交易によりもたらさられた文化が今なお、受け継がれています。現在は、眼下に広がる広大な海に沿って続く、細長い海岸線の自然の理を活かした漁業と観光を生業とする本州最北の村です。
2021年10月1日にみんな電力株式会社より社名変更。ソーシャル・アップデート・カンパニーとして、法人・個人向けに SXサービスを提供する。独自の特許ブロックチェーン技術を活用し、世界で初めて電力トレーサビリティを商用化した再エネ事業「みんな電力」は、国内トップクラスのプラットフォームとなっている。「顔の見えるライフスタイル」の実現のため、ウェルビーイング事業「みんなワークス」、エシカル調達事業「TADORi」などを展開。第4回ジャパンSDGsアワード内閣総理大臣賞、2021年度 NIKKEI 脱炭素アワードにおいてプロジェクト部門大賞など受賞歴多数。
株式会社UPDATER 会社概要
所在地: 東京都世田谷区三軒茶屋2-11-22 サンタワーズセンタービル8F
代表取締役: 大石 英司
設立: 2011年5月25日
資本金: 14億797万8千円(資本準備金:21億4217万8千円) ※2024年3月31日現在
事業内容: 脱炭素事業「みんな電力」ほかウェルビーイング、生物多様性等のSXサービスを展開
コーポレートサイト:
https://www.updater.co.jp/
本件のお問い合わせ先
<青森県佐井村>
総合戦略課
TEL:0175-38-2111
https://www.vill.sai.lg.jp/
<株式会社UPDATER>
戦略広報チーム 豊島・上田
TEL:03-6805-2228(受付時間 平日 11:00~15:00)
E-mail:pr@minden.co.jp