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リンゴ×津軽塗「二刀流」人材を募集 後継者不足の共通課題解消に挑戦

たなか銘産の工場で、リンゴをかたどった津軽塗製品を手にする高橋さん(左)と田中さん

たなか銘産の工場で、リンゴをかたどった津軽塗製品を手にする高橋さん(左)と田中さん

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 「弘前シードル工房kimori(キモリ)」と津軽塗製造会社「たなか銘産」が12月22日、リンゴ農家と津軽塗職人を兼務する「津軽の二刀流キャリア」募集を始めた。

リンゴの収穫作業

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 キモリを運営する百姓堂本舗はシードルの醸造や原料となるリンゴの自社生産、後継者育成農場「キモリキャンパス」の運営による就農者の指導などを行っている農業法人。たなか銘産は、津軽塗の製造から販売を一貫して手がけ、伝統的な津軽塗製品だけでなく、透過性をもつ漆素材・透漆(すきうるし)を使った「透ける津軽塗」などの新商品も開発している。

 両社は、後継者不足を共通課題としている農業と伝統工芸の両業界で、人材をシェアする取り組みとして協働した。採用者は春から秋はリンゴ農家として働き、冬の農閑期には津軽塗製作に携わる。就農を検討する人にとって、冬季の仕事がないとの問題点が解消でき、将来的に「完全就農」「津軽塗職人として独立」「農家と津軽塗職人のパラレルキャリアを継続」のいずれか、自分に適した道を選ぶことができる。キモリの正社員として若干名を募集する。

 地域知財を活用した国の経営支援モデル事業をきっかけに知り合ったという両社。百姓堂本舗社長の高橋哲史さんは「リンゴ農家と津軽塗職人は共に、接点がない人にとって参入しにくい業界。なり手が少ない分、一人ひとりには『一生の仕事にしてほしい』という過度な期待とプレッシャーも掛けてしまってきた。人口減の中で新しい働き方が必要」と話す。

 人材シェアの試みのヒントは、実家がリンゴ農家を営む、たなか銘産の社員から示されたという。社長の田中寿紀さんは「それぞれの業界にとって、気軽に参入できる入り口をつくるのが自分たちの使命。リンゴ農家と津軽塗職人は、共に根気が必要でマニュアルがない世界だが、そこに面白さを感じてもらえる人であれば向いている」と期待を寄せる。

 高橋さんは「かつて農家の冬場の副業は出稼ぎなどやむをえずするものだったが、現代は生き方をより豊かにするための『複業』。リンゴと津軽塗という、地域ならではの仕事をして暮らしていくことに興味を持つ人は県内外問わず、検討してほしい」と呼びかける。

 同募集事業では2026年1月24日、説明会を兼ねた職場体験ツアーを行う。要事前申し込み。応募者多数の場合は締め切る。

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