弘前で撮影した映画「658km、陽子の旅」が7月28日、全国公開される。
弘前出身の42歳の独身女性が主人公の同映画。父親の訃報を受け、東京から弘前を目指すというロードムービー。出演は、菊地凛子さんや竹原ピストルさん、オダギリジョーさん。監督した熊切和嘉さんは「私の男」「空の穴」などの映画作品で知られる。
撮影は弘前のほか福島や盛岡でも行い、ロケ地となったエリアを菊地さんが訪れる7月17日から始まったプロモーション活動では、劇中と同じ弘前を最終地点とした。
菊地さんによると、弘前での撮影は2021年12月の2日間で、1日目は雪が降らないシーンで、2日目は雪が降るシーンの撮影だったという。菊地さんは「無理な設定だったにも関わらず、希望通りの天気となり、弘前に受け入れられているような気がした。雪のシーンでは雪の量が多くなりすぎてカメラの前で雪が弱まるまでずっと待った。東京とは違う弘前の寒さは試されているようだった」と振り返る。
菊地さんにとって、青森での映画撮影は初で、弘前出身の役柄をもらったことも初。映画タイトルを見ただけで出演を了解したといい、「実際に弘前の風景や主人公の生活圏を感じ、体感したことで役への理解が深まった。写真や脚本を読むだけでは得られないものがあった」と話す。「弘前は絵になる風景が多い」とも。
津軽弁については当初、男性が指導者だったが菊地さんが不安を覚えたため急きょ、女性の指導者を手配してもらったという菊地さん。「一番難しかったのは『ありがとうございます』。津軽弁はイントネーションが難しいが、女性の津軽弁はチャーミングなので、うまく表現できるように練習した」と話す。
菊地さんは「私にとっては、40歳を超え今後のキャリアを考えさせられる時に出演の依頼があった映画。6月には中国・上海で開催された上海国際映画祭では女優賞のほか、3部門で受賞し、いろいろなものに受け入れられている気がする。弘前もその一つ。地元の人にぜひ見てもらいたい」と笑顔を見せる。
弘前ではイオンシネマ弘前(弘前市高崎)で上映する。