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弘前で東京のソムリエがワイン会-「ここが自分のホームタウン」

大鰐町出身のソムリエ・阿保孝史さん。手にするのは、最近関心を深めている古代ローマの製法で作られているという蜂蜜入りの甘口赤ワイン

大鰐町出身のソムリエ・阿保孝史さん。手にするのは、最近関心を深めている古代ローマの製法で作られているという蜂蜜入りの甘口赤ワイン

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 東京・恵比寿のフランスワイン専門店「La Vinee(ラ・ヴィネ)」でソムリエを務める阿保孝史さんが毎年、弘前市内でワイン会を開いている。

阿保孝史さんと乾杯する「ポルトブラン」オーナーの白戸信幸さん

 阿保さんは大鰐町出身で現在42歳。同町の高校を卒業後、県外のホテル専門学校で接客術を学び、20歳で東京全日空ホテルに就職。ホテル内の鉄板焼きレストランでウエーターとして働いた。ワインに魅せられたのは、このころからだったという。

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 「当時はバブル崩壊直後。目の前で焼き上がる高級和牛を待ちながら、20万や30万のワインを何本も開けるお客さんであふれかえっていた」と話す阿保さん。「多くの人は若くてフルーティーな甘口のワインから入るが、自分の入り口はこうした高価なワインだった。ちょっといびつな覚え方から入ってしまった」と振り返る。

 阿保さんはホテル勤務を続けながらワイン専門学校に通い、基礎的な知識を学習するようになる。4年目で日本ソムリエ協会が認定するソムリエの資格を取得し、その1年後にはホテルを退職。退職後はフランスワインの淵源(えんげん)をたどってスペインにある聖ヤコブの墓までを巡る旅を計画するが、フランス語が未熟だったため、働ながらフランス語も勉強するつもりでフランスワインの専門店に入店した。これが人生第二の転機となる。

 入店したのは、現在のラ・ヴィネの前身「カーブ・タイユバン東京店」。1年後には社員に昇格し、3年目にはフランスまでワインの買い付けに赴くようになった。「自分の仕入れたワインが日本のお客さんに関心を持ってもらい、おいしく飲んでもらえることがうれしかった」という。

 阿保さんが弘前でワイン会を始めたのは10年ほど前から。交友のあった「ポルトブラン」オーナーの白戸信幸さんの発案で、阿保さんが厳選したワイン7種類ほどを同店の料理とともに提供する。毎年これを繰り返す理由を阿保さんは「自分の中のホームタウンを見つけたから」と話す。プライベートな空間で自分好みのワインを、気心の知れた人たちに味わってもらうことがリラックスにつながっている。

 白戸さんは自分の店で開かれるワイン会について、「最初は阿保さん含め3人だけで始めたワイン会だったが、阿保さんが持ってきてくれるワインを楽しむにはもっと大勢がいいだろうと周りに声を掛け始め、現在に至った」と話す。阿保さん同様、自分にとってもリラックスできる空間だという。

 ラ・ヴィネのワインは、弘前市内や青森県内のフレンチレストランで入荷している店も複数存在する。「ワインを楽しむには味や香りだけではなく、その背後にある歴史を知ること。そのストーリーをうまく伝えるのが自分たちの役目」と阿保さんは話す。

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