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新年度で営業再開する弘前の飲食店 独立する店主や地元民向けに起業も

4月1日に1年ぶりに営業を再開した「海の灯」の店主・小友佑介さん。再開にあたりカウンター上に壁画アートを施した

4月1日に1年ぶりに営業を再開した「海の灯」の店主・小友佑介さん。再開にあたりカウンター上に壁画アートを施した

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 弘前で現在、新年度を機に新しい形で営業を再開する飲食店が増えている。

「ホルモン家もつべぇ」の店主・加藤守さん

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 「ダイニング 海の灯」(弘前市本町、TEL 0172-55-0374)は昨年4月12日から休業していたが、4月1日に1年ぶりとなる営業を再開した。店主の小友佑介さんは以前店長として働いていたが、自身が店主となり、営業することを決めたという。

 小友さんは休業中、飲食とは別の仕事をしながら営業再開に向けて準備をしていた。「前店主と再開に向けて何度も話し合っていく中で、自分が店主として再スタートするという案が生まれた。独立はいつか考えていたため、店の名前を引き継いで始めることにした」と振り返る。

 店名を引き継いで再開したことについて「自分が始めたい店の名前はすでに決めていたが、オープン当初から10年働いた職場で、常連客も多く、再開を待ちわびる声も多かった。そんな声に応えたかった」と小友さん。「前店主が自ら仕入れる海鮮を中心とした居酒屋だったが、それに加えてエビやカニも提供できる店にした。再開当日から多くのお祝いをいただき、喜んでいただけるお客さまに料理が提供できることが楽しい」と笑顔を見せる。

 「ホルモン家もつべぇ」(土手町、TEL 0172-38-5080)は4月1日から以前のテナントで営業を再開している。「もつべえ」は毎日通える焼肉店をコンセプトに2005(平成17)年に開業し、店主となった加藤守さんも常連客の一人だった。運営するグロウアップ(藤崎町)に転職した加藤さんは、同店の店長、別ブランド「大衆鶏酒場 とりべえ」などの店長を担当していたが、「もつべぇ」は2020(令和2)年11月に閉店、「とりべえ」は2021(令和3)年2月28日に閉店した。

 「閉店が決まった際、もつべぇを残したいという思いがあったため、独立を社長に相談した。店名やテナントは譲ってもらうことを条件に引き継ぐことにした」と加藤さん。グロウアップを退職し、3月から独立した。

 メニューは閉店前と変更せず、気軽に立ち寄れるような店づくりを目指す。加藤さんは「新型コロナウイルスはまだ収まらないが、昨年10月に弘前の繁華街で発生したクラスターが底だったと感じている。あとは上るだけ。気持ちは上向きにある」と意欲を見せる。

 「魚屋地酒処真ちゃん」は「真ちゃんグループ」として鍛冶町に最大3店舗を展開していた。新型コロナウイルスの影響により、売り上げは減少。店主・田村真一さんによると、助成金や休業などでしのいだが、クラスターにより心が折れたという。「営業するだけ赤字」と、11月に「真ちゃん」を閉業した。

 閉店作業を終えた田村さんは、地元である東目屋地区で家業の加工リンゴの卸や農作業を手伝う予定だったが、母校近くにあったスナック跡地が借りられることを知り、再起を決意する。10年以上の空きテナントだった店は、田村さん自身で改修。カウンターテーブルは削り直し、壁にはしっくいを塗り、ボトル棚は取り壊し、調理用の空調設備を入れた。

 3月31日に「魚屋地酒処真ちゃん」(黒土川合)は再開。以前から取引のあった業者は、中心市街から離れている東目屋地区まで配達に対応し、常連客や地元の知り合いもすでに足を運んでくれたという。「周囲の支えに感謝したい」と田村さん。

 「家の手伝いをやりつつ、今は地元の人たちを相手に自分のペースで営業していきたい。コロナが収束し、安心して営業できるようになったら、その時改めて考えたい」とも。

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