青森・鰺ケ沢の人気犬「わさお」が6月8日、死亡した。わさおが飼われていたイカ焼き店「七里長浜 きくや商店」(青森県西津軽郡鰺ケ沢町)では現在、店頭に献花台が設けられ、地元住民らの弔問が後を絶たない。
わさおは「ブサかわいい」と人気を集めた秋田犬で、書籍化や映画化、3月に亡くなった志村けんさんがメインMCを務めていた日本テレビ系列のバラエティー番組「天才!志村どうぶつ園」ではコーナー化された。2007(平成19)年秋、きくや商店店主の故・菊谷節子さんが捨て犬だったわさおを保護。その翌春に訪れた女子大生だったメレ山メレ子さんがブログで紹介したことから反響を呼び、人気に火がついた。
「わさおプロジェクト」代表の工藤健さんによると、わさおは今年4月から立つことが困難になっていたという。6月7日に突然元気がなくなり尿を出さなくなったことから、通院していた動物病院に連れて行ったところ、獣医師から「1日、2日が峠ではないか」と言われたという。「点滴をすればまた元気になるだろう。新しいドッグフードも封を開けたばかりだった」と工藤さん。
息を引き取ったのは6月8日17時54分。わさおの死の瞬間を見届けた工藤さんは「すっと眠りにつくように目を閉じて息をしなくなった。節子さんに呼ばれて尻尾を振って追いかけて行ったのだと思う」と話す。
わさおの死は翌9日に公表された。亡きがらは同日焼かれ、遺骨はきくや商店店内でわさおの妻で2019年5月に亡くなったつばきの隣に置かれた。献花や弔問客は途切れず、ネット上ではわさおをしのぶ声が続々と寄せられている。
節子さんの長男でわさおの飼い主の忠光さんは「全国から手紙も届いている。わさおを愛してくれた皆さまには感謝しかない」と話す。
工藤さんは「いちファンとしてメレ山さんのブログを節子さんに紹介したことがきっかけで、13年間プロジェクトに関わってきた。もう写真を撮ることはできないが、今も私の中では生きている。お別れ会を計画しているが、どのような形で開催するかは未定。なるべく全国の人にも参加してもらえるような形で開くことができれば」と話す。