青森県西目屋村は世界自然遺産・白神山地を有した山間にある小さな村です。この村で昨年に引き続き開催された「白神PEAKSフード&クラフトフェスティバル2022」は、西目屋村に根付く文化や逸品を触れたり豪雪地帯ならではの体験ができたりするイベントになりました。1月9日・10日の2日間にわたって開催されたイベントの様子をレポートします。
目次
1.2つの会場で冬の体験や地元フード
2.限定グッズと特設フードブース
3.コーヒーユニットによるパフォーマンス
4.西目屋ならではのスノーアクティビティ
5.感染症対策も実施した上で開催
フェスティバルは「道の駅津軽白神 ビーチにしめや」と隣接する「白神山地ビジターセンター」の2会場で行われました。「道の駅津軽白神」は道の駅として2019年に開業。白神焙煎炭焼珈琲と白神ワイナリー&白神生ハチミツshop「ビファーボ」といった工場併設店舗があるほか、地産の食材が並ぶ産直に2年前のコロナ禍でオープンした「モンベル」のアンテナショップなど、ここでしか購入できないグッズやアウトドアウェアなどをそろえます。
「白神山地ビジターセンター」は、白神山地の生態系を知る展示ホールや映像体験ホールなど白神山地の散策情報を案内するだけでなく、深く知るための施設としてあります。イベントではパフォーマンス会場として、施設内ではスノーラフト、チューブライドなどのアクティビティが体験できる場になりました。
白神ビジターセンター内の駐車場がスノーラフト会場に
イベントでは西目屋産の炭を使ったコーヒー焙煎や白神そばのそば打ちといった体験や、新しく観光の目玉として西目屋村が売り出しているジビエ料理の提供も行いました。ジビエは農作物の被害対策として捕獲した野生鳥獣を、「マタギ文化」の「山の命を無駄にしない」という教えをもとに、昨年から提供を始めていました。
イベントでは鹿肉の汁ものを提供していた
イベント開催に合わせ、モンベルではオリジナルデザインの商品を販売。昨年はこぎんデザインのサーモタンブラーが同店から発売し、好評を得ました。今年はこぎんプリントのロングTシャツとマフラーを発売。デザインはこぎん作家でグラフィックデザイナーの山端家昌さん。山端さんはこぎんを使ったデザインを商品化したりオブジェを製作したりする作家で、東京を中心に活動をする第一人者です。
こぎんをデザインしたオリジナルロングTシャツ
「ビファーボ」では、PEAKSデザインのピュアサイダーを限定発売。ピュアサイダーの醸造は、「道の駅津軽白神」内にある白神ワイナリーで行われました。白神山地の麓で育まれた青森県産のリンゴだけで作るシードルやワインを醸造します。今回リリースした「ピュアサイダー」はスタンダードタイプで、白神山地で採取された「ブナ」の天然酵母で発酵させています。
白神ピークスバージョン
会場内では弘前の燻製(くんせい)専門店「トパーズ」によるリンゴや桜の木で燻製した商品の販売やスイーツの販売や製造を行う「ジョージのおやつ」が「チーズケーキ」などを出品。「ジョージのおやつ」は地元・西目屋を拠点にする無店舗型のスイーツ店で近年、20~30代らを中心に人気。一時は行列ができるほどの大盛況ぶりでした。
ジョージのおやつに並ぶ列
イベントの目玉の一つ、コーヒーの抽出パフォーマンスと飲み比べも好評でした。パフォーマンスはコーヒーユニット「赤い果実」が担当。披露したパフォーマンスは8人のバリスタが同時にコーヒーを入れていくというもの。8人同時にコーヒーを抽出している姿は圧巻で、解説を聞きながら手際よくコーヒーを入れていく姿を最後まで見てしまう人が多くいました。
赤い果実によるコーヒーの抽出パフォーマンス
抽出の様子を見るギャラリーたち
コーヒーの飲み比べコーナーでは、白神山地の水で20時間かけて抽出した「白神みずだし珈琲」や雪室から取り出した熟成コーヒー「ゆきむろ熟成珈琲」などを提供。世界遺産登録された産地のコーヒー豆を使った飲み比べも実施し、味の変化やおいしさの違いなどを喜んだり楽しんだりしている人がいました。
白神ビジターセンターロビーに設置された飲み比べコーナー
「白神山地ビジターセンター」の施設内には高さ10メートルほどの大型滑り台が設置されたほか、約5分間のスノーラフトが楽しめるルートも開設されました。どちらも豪雪地帯だからこそ楽しめるアクティビティ。開催両日ともに青空が広がる晴天となり、子どもを中心に何度も楽しんでいました。
大人も楽しめる迫力だった
滑り台へ駆け込む子どもたち
晴天で滑り台からは岩木山が臨めた
会場では、新型コロナウイルスの感染防止を徹底するため、各店舗に飛沫防止用のシートや消毒液を設置。入り口では来場者の連絡先の記入とマスクの正しい着用を周知・徹底し、密集回避と換気を徹底しました。
入り口では来場者に連絡先を記入させた
各店舗に飛沫防止シートを設置
その他、業種別に定められているガイドラインにも従い、アフターコロナ、ウィズコロナの時代に沿った新しい形での開催を目指しました。
2日間の来場者数は1100人。今年も現在の感染状況では県外からの集客は難しく、主に地元住民向けのイベントとなってしまいましたが、西目屋村に昔からある食材や文化を活用した新しい取り組みや白神山地の恵みを楽しめる内容となり、集約したアンケート結果では、およそ65%の来場者から「満足した」といった声が寄せられていました。
主催した道の駅津軽白神活性化協議会の成田専蔵さんは「白神山地・西目屋の魅力を発信するため昨年に引き続き2度目の開催となったが、西目屋の魅力を知る良いきっかけとなったという声があり、手ごたえを感じている。冬だけではなく、紅葉の季節など、白神山地の魅力を別のシーズンでも発信するような楽しいイベントにしていきたい」を語っていました。
営業時間
農産物直売所=4月~10月/9時~17時・11月~3月/9時~16時、レストラン「森のドア」=4月~10月/11時~14時(土日祝11時~15時)・11月~3月/11時~14時、BeFavo=4月~10月/10時~16時30分・11月~3月/12時30分~14時30分(月・火・水曜定休)、白神焙煎舎=11時~15時(水・木曜定休)
定休日 なし
アクセス JR奥羽本線「弘前駅」から車で30分、東北自動車道「大鰐・弘前I.C」から車で40分
住所 青森県中津軽郡西目屋村大字田代字神田219-1
TEL 0172-85-2855
白神ピークス
白神山地と人の長い長い関わりの歴史の中で食べられ使われてきたものが、あるものは昔のまま、あるものは研ぎ澄まされ、あるものは再解釈され混在する西目屋村。それらの逸品が集うフェスティバルを2日にわたり開催します。白神の恵みを味わい・学び・楽しもう!