青森・西目屋にある「目屋ダム」が間もなく水没する。
同ダムは1960(昭和35)年に完成して以来、50年以上にわたり岩木川沿いの洪水被害の軽減やかんがい用水の補給などに貢献してきた。堤頂長187.5メートル、堤高58メートルの重力式コンクリートダムで、総貯水容量は3880万立方メートル。東京ドームの約32杯分の湛水(たんすい)量という。
2008年から再開発事業として、目屋ダムより60メートル下流に貯水量が約3.6倍、高さ約1.7倍となる「津軽ダム」の建設が始まり、2014年8月にコンクリートの敷設を完了した。これにより、役割を終えた目屋ダムは水没することになった。
津軽ダムは現在、ダム湖に水をためて安全性を確認する試験湛水を行っており、国土交通省津軽ダム工事事務所ホームページによると、水位はすでに目屋ダムの高さを超えているという。
ネット上では「いよいよ沈んだ」などの声が見られるが、目屋ダムは3月3日現在、まだ沈んでいない。西目屋村役場関係者は「先週末あたりから間もなく、沈むだろうと水位をカウントしている。2月27日にダムの水没予定水位を超えたが、まだ水没しない。別れを惜しんでいるようだ」と話す。
同事務所の担当者は「高さの基準が、ダム上部にある天端(てんば=歩道や道路部分)のため、高さ1メートル以上の手すりにあたる天端高欄は含まれない。ほかにも管理施設のあった足場などが飛び出ているため、目屋ダムが完全に沈むのは今週末あたりになると予想している」と明かす。
津軽ダムの試験湛水は今後、最高水位まで上昇させた後、安全確認を経て水位を下げて今秋の完工を目指す。同担当者は「水没する目屋ダムの様子を毎日ホームページで公開している。ぜひご確認いただければ」と話す。