弘前市紙漉町にある湧き水「富田の清水(しつこ)」が現在、環境省主催の「名水百選」選抜総選挙にエントリーしている。
環境庁(現・環境省)が全国各地の「名水百選」30周年を記念して行う同企画。選挙は4つの部門に分かれており、「富田の清水」がエントリーしているのは、「観光地としてすばらしい名水」部門。投票で選ばれた上位5位の名水は環境省のサイトなどで観光名所としてピックアップするという。
「富田の清水」は、1686(貞享3)年から昭和初期まで紙すきに利用されていたほか、近年まで生活用水として使われていた。「名水百選」に選ばれたのは1985(昭和60)年。地域住民は石で区切られた6つの水場をそれぞれ飲料用と米とぎ用、野菜の洗い用、洗濯や足洗い用として活用しており、生活に根付いていることが選定理由になったという。
「富田の清水」を管理する市環境管理課の担当者は「現在も飲用や食材の洗い場として使われており、年配の方の中にはリピーターとして長く利用している方もいる。1995年からUV殺菌を行っているが、湧き水としての味に影響はない」と話す。
「しつこ」は津軽弁で「清水」の意味。「富田」は旧・富田村(現・紙漉町)に所在したことに由来する。同市の担当者によると、観光客からは「水は出ていますか」との問い合わせが定期的にあり、東京からも訪れる人もいるという。「もっと多くの人に知ってもらえるとうれしい。投票はネットから登録や申し込みなどは必要なく簡単にできる。青森県内から唯一のエントリーなので、青森全体で地元の名水を投票してほしい」と呼び掛ける。
投票は1人1日1回。3月13日まで。