
「成田専蔵珈琲(コーヒー)店」(弘前市城東北2、TEL 0172-28-2088)で10月10日、開業して50周年を迎えた。
1975(昭和50)年に店主の成田専蔵さんが富田で開業した同店。現在は、「城東店」(城東北2)と「弘大カフェ成田専蔵珈琲店」(文京町)、「北の珈琲工房」(中津軽郡西目屋村)の3店舗を経営する。成田さんは「コーヒーが好きで続け、文化として伝えてきた」と話す。
成田さんによると、開業した1970年代は弘前に約650店の喫茶店があったが、専門店としてコーヒー豆販売や自家焙煎(ばいせん)を行う店は少なかったという。焙煎機は自家製で、灰皿やクルマのモーターなどを利用して作った。
開業と同年に立ち上げた「弘前コーヒースクール」は、コーヒーの入れ方や豆について学べるだけでなくコーヒー文化を伝える講座として、現在までに6000人の卒業生がいる。中には喫茶店を開業し、現在営業を続けている店もある。
成田さんが探求したコーヒーは歴史にも広がり、約160年前の弘前藩士が北方警備の際に薬としてコーヒーが配給されたことを知る。当時のコーヒーを再現した「藩士の珈琲」は同店の看板メニューとなり、「珈琲の街ひろさき」といった取り組みに力を入れ、弘前の喫茶文化をけん引した。
50周年を記念し、書籍「珈琲の街・弘前 コーヒーのある風景」(1,500円)、コーヒー豆「サンクスブレンド」(100グラム=745円)を店内で販売する。「コーヒーのある風景」は成田さんが書いた51編のエッセーで、挿絵は成田さんの孫が担当した。
成田さんは「昔のようにシンプルな時代ではなくなったが、コーヒーが人をつなぐ飲み物であることは変わらない。コーヒーに対する私の思いも変わることがなく、これからもコーヒー文化を探求し続けたい」と話す。
営業時間は10時~18時。木曜定休。