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青森で創業したUIJターン者の思いと活動「青森県だからできたチャレンジ」

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提供:青森県 制作:弘前経済新聞編集部

青森県内では現在、創業支援拠点を利用した創業者数が増加しています。2011(平成23)年以前は年間10人程度の創業者数でしたが、今や年間200人を超え、2022(令和4)年は237人の方が創業しました。そのうち、UIJターンによる創業者が13人。青森だからこそチャレンジできた創業とは。青森県に移住し、創業した3人に聞いてみました。

CASE1/予算にメリハリつけて創業、水害から再スタート

福島県→鯵ケ沢町(Iターン)
土屋智則さん(ラーメン店「會津めん 浜さき」)
2021年12月創業

妻の故郷で創業する

鯵ケ沢町に2021年にオープンした「會津めん 浜さき」。青森県では珍しい喜多方ラーメンを提供している。店主の土屋智則さんは福島県出身。学生アルバイトから始めてラーメン一筋。今年で30 年目。喜多方ラーメンの有名店「坂内食堂」を皮切りにキャリアを積み、各地での店長経験もある。

独立を考えていたが、どこで創業しようか定まっていなかったところへ、妻の親戚から土地建物を貸してくれるとの話が持ち上がった。青森移住を決めたきっかけとなる。結局は工事に費用がかかりすぎるため断念し、コンビニエンスストアの跡地を改修した現在の店舗に落ち着いた。

高校生のアルバイトからラーメンに関わる土屋さん

創業までに考えたこと

店舗が決まり開店準備に邁進した土屋さん。

「コンビニ跡地なので、広さは十分だが冷房の増設が必要だった。既存のままでは調理場の熱をしのげない」

内装工事では床材にも工夫をこらし、カウンターの足元は、客席の靴がぶつかるため、汚れが目立たないようにグレーに。清潔感を保ちつつ、維持費を抑える工夫となる。設備費を抑える手段として、高額な厨房機器は中古品も活用し、子どもや高齢者向けのサービスにはコストをかける。全体として予算をかけるところ、締めるところが明確になっている。

最も苦労したことはオープン時の人材確保。時給を高めに設定したが、なかなか応募が来なかった。知り合いの紹介でなんとか集めたという。現在はスタッフも増え元気に働いている。

スタッフたちと集合

家族と一緒の時間

移住・創業で家族との過ごし方が一番変わったという。

「妻とは仕事も一緒ですし、娘は目の前の小学校から店へ真っ直ぐ帰ってくるから安心」

バックヤードに娘が過ごせるスペースも確保した。早朝から深夜まで勤めていたかつてとは大きく変わった。「独立して家族と過ごす時間が増えたのが何よりうれしい」と土屋さんは笑顔を見せる。

水害から再スタート

2022年8月、鯵ケ沢町に記録的な大雨が降り、各地で深刻な浸水被害が出た。「浜さき」も被災。濁流が店内に流れ込み、命の危険も感じたという。オープン9カ月目にして、1カ月の休業をすることになった。「涙が止まらなかった。しかし、泣いてばかりはいられない。家族や従業員のためにもがんばらなければ」

被災した店内(写真提供=土屋智則さん)

営業を再開した際、待っていた地元客が多く戻ってきた。感謝と喜びで胸がいっぱいだったという土屋さんは「本当の勝負はこれから。自分でできることを一つひとつ形にして、新しいサービスや地元のニーズに応えられるような店にしていきたい」と意気込む。

CASE2/異業種だからこそできるリンゴ文化を伝える農家に

福島県→千葉県→弘前市(Jターン)
永井温子さん(農業「株式会社Ridun」)
2021年8月創業

先延ばしにしないと決めた

岩木山の裾野を覆うように広がる7月のリンゴ畑では、実すぐり作業が行われている。若手リンゴ農家として活躍する永井温子さんは福島県出身で、弘前大学を卒業後、東京の広告会社で営業職に就いた。いつかは東北に戻ろうと考えていたが、大学生時代にお世話になった人の訃報を耳にし、「やりたいことを先延ばしにしてはいけない」と一念発起。会社を辞めて2019年4月、地域おこし協力隊として弘前市に戻ってきた。永井さんに与えられたミッションは、「後継者不足解消のため、リンゴ農家になりたい人を増やす」ことだった。

弘前大学が縁で弘前にJターンした永井さん

自らも一からリンゴ栽培を学びながら活動を続けるうち、前例が少ないなら自分で畑をやってみようと思い立ち、まずは40アールのリンゴ畑を手に入れた。

リンゴ農家として創業

外から来た未経験者が簡単にリンゴ畑を持てるのだろうか。「何度も通って、ちゃんと面倒見られると態度で示して理解を得るように努めた」と永井さん。

農家にとって我が子同然のリンゴ畑は、まっさらな土地を購入するのとは異なる難しさがある。創業にあたっては、ひろさきビジネス支援センターのサポートを受けた。その際、農地取得に融資してくれるのは日本政策金融公庫のみであること、事業計画書ではどこをアピールするべきかなどのアドバイスをもらい、無事畑を手に入れた。

永井さんが取得したリンゴ農園。岩木山が見える

2021年度末で地域おこし協力隊を卒業した。現在はリンゴ農家としてリンゴを生産し、流通にのせやすいジュースも販売している。商品開発やパッケージデザイン、小売店への売り込みでは前職のプレゼン力が活かされた。最初に手に入れたのが「千雪」という希少品種だったため、なんとか魅力を伝えようとSNS を活用。その後、品種や味の違いを知ってほしいと15種類を飲み比べられるジュースを開発した。人気品種のみを扱う大規模農家とは一線を画すアイデアで、女性や若い消費者に好評を得ている。

リンゴ生産を文化ごと楽しむ

移住してから仕事と遊びの境目が曖昧になった。遊んでいるときに仕事のアイデアが浮かぶこともある。畑でバーベキューや音楽イベントを企画することも。

「畑に来る友人の職種はさまざま。農業にゆかりがなくても関わることはできる。市場ニーズ以外にも、別な視点からものの魅力を伝えられる人が必要」

木箱に印を付ける金属型に魅力を感じ、リンゴジュースのデザインに応用した。広告業界出身の永井さん自身も異なる視点を持つリンゴ農家であり、リンゴの文化に光を当てる会社でありたいと願っている。

永井さんが販売するリンゴジュース

CASE3/就職以外も視野に多業も選択肢のひとつ

千葉県→青森市(Iターン)
黒竹健司さん(情報通信「Little Gadget Lab」)
2022年2月創業

母のふるさと青森へ

青森市浪岡地区の地域おこし協力隊として2019年に移住した黒竹健司さん。母親が青森市出身で、母親から郷里へ移住したいという話が持ち上がり、一足先に黒竹さんが青森市に移り住んだ。移住前は千葉の大手自動車ディーラーでエンジニアをしていたが、田舎暮らしには憧れがあり、転職を考えていたという。母親の話を受けて東京の移住相談会に通っていたが、条件に合う求人が見つからず、協力隊の募集が道を開いてくれた。協力隊の活動内容は地域PR。今までの仕事とは違うジャンルだったが、黒竹さんは挑戦しようと移住を決めた。

青森市内の空き家を作業場にした黒竹さん

創業を意識しはじめる

協力隊として活動を続ける中で、市役所の担当課長からリノベーションスクールを勧められる。リノベーションスクールとはビジネスプランを持ち寄り、さまざまな業種の参加者たちとアイデアをブラッシュアップしていく学びの場。「なんの気なしに参加したものの、まじめに事業計画を立てることになってしまった」と笑う黒竹さん。移住1 年目で創業に興味を持ち、青森商工会議所が主催するスタートアップセミナーにも顔を出すようになった。

「自分で創業して生きる彼らが輝いて見えた」

創業するつもりなどなかったが、講師としてやってくる現役創業者たちの姿勢に触れ、考えは変わっていった。

好きが高じて始めた映像の仕事が増えているという

さらに移住2年目に発生した新型コロナウイルスの影響で協力隊の活動ができなくなったことが決定づけた。移住希望者に青森の魅力を直接伝えることができなくなった事態に、黒竹さんは本格的に映像制作に取り組むことを考えた。

市役所の常駐スペースにデスクトップパソコンを設置して映像を編集・発信。ドローン撮影ができると知った他部署から、桜を撮ってほしいなどの依頼がくることもあった。

青森で創業し再スタート

2022年2月、黒竹さんは協力隊の任期満了直前に個人事業主となった。青森市広報番組の配信動画編集やイベントやドローン撮影といった映像の仕事のほか、一般企業からのデジタルを活用する相談が徐々に増えている。2022年4月からは青森市移住コーディネーターに任命され、移住体験者のアテンドを行いながらラジオやケーブルテレビで移住の魅力を伝えるなど、黒竹さんのできることが仕事となった。

「青森は、新しく生まれた業種でのライバルが首都圏に比べて少ない。開拓する楽しさがあり、自分がすでに持っているもので創業できる場合もある。大企業へ食い込むのは難しくとも、個人事業主で複業という形はとりやすいのではないか」

仕事の休みには仲間たちとバーベキューやトレッキングを楽しむ(写真提供=黒竹健司さん)

今後はICT 機材に触れて体験できるようなコワーキングスペースを作ってみたいと考えている黒竹さん。活動の幅は今後も広がっていくようだ。

青森県は多様な“夢実現” を応援します!

青森県だからこそできるチャレンジがあり、故郷で、新しい場所で、なりたかった自分になれる可能性があります。青森県には夢に向かって挑戦する人たちを応援する仕組みがいろいろあり、青森県での夢実現をサポートします。今回紹介した3人以外にも青森県へ移住し創業・起業を実現した方へのインタビューをまとめた冊子もありますので、ご参考ください。

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