青森にある「古遠部(ふるとおべ)温泉」(平川市碇ケ関)で5月26日、事業継承者が内定した。
秋田との県境近くの山間エリアにあり、温泉愛好家からは「トド寝」ができる秘湯の温泉として知られる同施設。昨年夏ころから事業継承者の募集を本格的に行い、営業は今年5月末までとしていた。同施設社長の木村達夫さんは「本当は3月末で廃業しようと考えていたが、『続けてほしい』という声が多く、5月末まで営業することにした」と話す。
木村さんによると、古遠部温泉は鉱山の試掘で噴き出た温泉で、父から譲り受けた別荘を改修して温泉宿として1984(昭和59)年から始めたという。2012(平成24)年には旅行新聞新社主催の「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で選考審査員特別賞に選ばれた。
候補者10人以上と面談をしたという木村さん。県内外からさまざまな人が興味を示したが、木村さんが見たのは人柄や約40年続いた温泉宿を少しでも長く続けてくれるような人材だったという。「最終的には人柄。今も通ってくれる常連客を大切にしてくれそうな人を選んだ」と木村さん。
宿泊は5月末までとし、立ち寄り湯は6月末まで続ける。7月以降の予定について木村さんは「内定者との話し合いで進めていく。浴室や施設の改装により、おそらく1カ月以上は休業する」と話す。
木村さんは「80歳を迎えようとする歳で、肩の荷がようやく下りた。私自身が実は古遠部温泉に入ったことがあまりなく、湯に入って静養しようとも考えていたが、あと1カ月はできそうにない」と笑顔を見せる。
営業時間は9時30分~19時45分。