洋食居酒屋「アルポルト」(弘前市土手町、TEL 0172-34-8051)が12月1日、中三弘前店隣に移転して2年ぶりに営業を再開した。
下土手町スクランブル交差点で2020年1月まで営業していた同店。スペイン料理を中心に洋食とワインなどを提供していたが、店主でシェフの柴田哲郎さんに2019年10月、病気が見付かり長期の入院が必要となったため閉店した。
柴田さんは写真を勉強するため高校卒業後に上京するが、アルバイトで始めた飲食業に傾倒し、写真の道から離れた。弘前に戻ってきてからも飲食店で働き25歳で独立。「アルポルト」はかくみ小路に出店し、移転は今回で4度目となる。
料理は独学という。スペインには4回渡り、料理を食べ歩きながら味を覚えた。「観光化された店でなく、地元住民しか行かないような店を選んだ」と振り返る柴田さん。「思い出深いのは初めてスペインに行ったとき。独裁者のフランシスコ・フランコが亡くなったときで、街がピリピリしていた中で銃を向けてきた軍人にも臆さずおすすめの店を聞いたものだ」と笑顔を見せる。
新店舗は薬店が倉庫として使っていた蔵で、築年数は不明。店舗面積は21坪、客席数は28席。「柱に大正10年(=1921年)と書いてあるので、もしかすると築100年以上かもしれない」と柴田さん。白を基調とした店内を梁(はり)や土台を見えるように改装した。前店舗で使っていたテーブルや椅子の一部を再利用し、柴田さんがスペインで購入してきたという表面に地図が描かれている牛皮のタペストリーは再び掲げた。
メニューはパエリヤ(3,100円、ハーフ=1,600円)のほか、田舎風パテ(780円)、ムール貝のワイン蒸し(950円)、今日のサラダ(750円)など。アルコールはカクテル(各種600円)、グラスワイン(550円)、バーボン、スコッチ、シードル(以上、600円)などのメニューを用意する。ワインリストもある。
ランチの再開は調整中。2年のブランクがあることと、店の作りにもまだ慣れていないという。現在、柴田さんは69歳。営業の再開を聞き心配する声もあったというが、「退院して体調も取り戻し始めた頃、このままの引退には抵抗があった」と柴田さん。「生涯現役を目指す。最期は調理場で倒れたい」と話す。
営業時間は18時~22時。水曜定休。