青森・大鰐にある「ひばのくに迎賓館」(南津軽郡大鰐町)で9月17日、青森に移住した米国人による尺八演奏会「リラックス宇宙一体化」が行われた。
ひばのくに迎賓館に集まった地元民らの前で尺八の腕前を披露するニック・ベランドさん
弘前大学教育学部教授で根笹(ねざさ)派錦風(きんぷう)流尺八の技芸保持者である山田史生さんと、アメリカ・ニュージャージー州生まれで昨年大鰐に移住したニック・ベランドさんが企画した同イベント。
ニックさんは尺八を山田さんに師事し、尺八製管を秋田の製管師・三浦龍畝さんの下で勉強したという。
ニックさんは「尺八は楽器ではない。自分を見つめる道具であり、自分を表現することができる」と話す。会場では「尺八の演奏は奏者には楽しいが、聞いている方は理解が難しく楽しくない」とも。来場者の笑いを誘った。
この日は、山田さんが錦風流は弘前藩の武士たちが演奏した尺八の流派で、現在では2人しか奏者がいないことを紹介。ニックさんは尺八との出会いや大鰐に移住した経緯などを話した。演奏会後半には、会場に集まった約60人と一緒に「リンゴ追分」を合唱する一幕もあった。
ニックさんは演奏会を終え、「尺八で救われたことが多く、尺八を通じて知り合えることにいつも感謝している」と笑顔を見せる。山田さんは「私にとって尺八は心身の健康のための道具。興味を持ってもらった人たちと一緒に楽しみたい」と話す。