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弘前のアニメ制作会社「イーゲルネスト」設立30周年 「8割が苦労だった」

「INDEPENDENT&INNOVATE」と掲げた30周年

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 弘前のアニメーション制作会社「イーゲルネスト」(弘前市城東)が9月1日、設立30周年を迎えた。

「仕上げ」はセル画に指定された色を塗る。近年はデジタルペイントとなる

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 青森県内で唯一のアニメーション制作会社の同社は、社表の白戸勝彦さんが鯵ヶ沢出身で東映アニメーションの松坂一光さん協力のもと、スタジオOMの地方スタジオとして「スタジオOM青森ワークス」を1986年に立ち上げた。白戸さんは「仲間たちが集まり、当初はサークル活動のような団体だった」と振り返る。

 アニメーションの製作過程においてセル画に指定された色を塗る「仕上げ」と呼ばれるパートを主に担当し、1990年代は「るろうに剣心」や「ふしぎ遊戯」といったテレビアニメのほか、「スラムダンク」や「美少女戦士セーラームーンR」といった劇場作品に携わる。2000年代に入ると、アニメ業界にデジタル化が進み、パソコンによる彩色のデジタル仕上げを担当するようになった。

 業界内ではセル仕上げが丁寧と定評があり、1990年にNHKで放送されたテレビアニメ「ふしぎの海のナディア」ではオープニングの一部や特典映像「おまけ劇場」の仕上げを担当し、同アニメの監督で「新世紀エヴァンゲリオン」「シン・ゴジラ」の作品で知られる庵野秀明さんに「こんなに丁寧な仕事をする会社があるのか」と高い評価を受けたという。

 30年目を迎えた白戸さんは「8割が苦労だったが、あっという間だった」と振り返る。2012年には脳出血を患い、約2カ月間、仕事ができない期間があった。「リハビリ中に看護師さんから、病院のオリジナルキャラクターを使った簡単なアニメを作りたいと相談され、自分に作らせてくれと進言したことが、仕事復帰の原動力となった」と話す。

 今後は地元・青森の仕事創出や、東京に行かないとできないといった理由であきらめてしまう仕事を青森でもできるような環境作りに取り組みたいと話す白戸さん。「映像という分野でしか自分の経験を地元に還元することができない。アニメーションや特撮などで、映像と仕事の場を作っていきたい」と意欲を見せる。

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