たか丸くん(左)と一緒に子どもたちと触れ合う妹尾昭吾さん(中央)
―今回のイベントにはどういうきっかけで参加されたのですか?
妹尾 ひろさきアフタースクールを企画・運営している境江利子さん(注1)から「市民先生として、弘前で講師をしてもらえませんか?」という連絡を受けたのが、私の誕生日の翌日の3月15日でした。内容を詳しく聞く前に、弘前に行けると聞いて、すぐにOKしましたね(笑)。その時に境さんから頂戴した誕生日のお祝いメッセージは、私にとって最高の誕生日プレゼントとなりました。
―内容は第1部が「考え方を変えれば毎日が100倍楽しくなる」という授業、第2部が「世界に一つだけのオリジナルキャラクターを作ろう」というワークショップでしたが、この企画はどうやって決まったのでしょうか?
妹尾 境さんから桜満開の日を見計らっていただき、4月29日に開催することとなりました。ほとんど時間がなかったので、私の方から提案しました。第1部の授業でも話したのですが、自分がやりたいこと――大人も子ども楽しめる企画にしよう――を最優先に考えて、2部構成としました。
―当日は、第1部の方には高校生や大学生の参加者が目立っていましたが、彼らから印象に残った質問は何かありましたか?
妹尾 自分のやりたいこと、なりたい職業をはっきり意識した学生さんたちが多かったのはとても良かったと思っています。「自分が60歳になった時、どんな大人になっているでしょうか?」という質問にもよどみなく答えてくれる人たちが多かったのには、ちょっとびっくりしましたね(笑)。ここは「誰もそんな先のことまで考えていないよね」と言いながら授業を進めていくつもりだったんですが……。
―予想外の展開に驚かれたのですね。他に何か大変だったことはありますか?
妹尾 初の先生業という事で、とにかく最初から最後まで緊張しっぱなしでした。それでも、友情出演してくださった乘田麻衣子さん(注2)のサポートのおかげで、授業に参加している皆さんと楽しくかけ合いながら話がしたい、という私の希望をかなえることができました。
―第2部は、子どもたちと一緒にキャラクターを作ろう、という企画でした。みんな真剣に、そして楽しそうにクレヨンを握っていましたね。
妹尾 子どもたちの発想力はやはりすごいなと思いました。大人になればなるほど、うまく描かないと、という気持ちが強くなって自由な発想が持ちにくくなります。社会人になると、失敗しないように小さくまとまってしまうのと同じことかも知れません。
自分の好きな事、やりたい事を最優先に考える事で、他には無い発想が生まれるんだなと、参加してくださった子どもたちに、あらためて教えてもらいました。
―子どもたちが描きあがったキャラクターを「たか丸くん」に見せに行く時も、とてもうれしそうにしていましたね。
妹尾 子どもたち一人一人が、自分の描いたキャラクターの説明をしてくれた時の一生懸命でキラキラした笑顔がとても印象的でした。たか丸くんもきっと心から喜んでいたと思います。
―子どもたちが使ったクレヨンも特別なものでしたよね。
妹尾 キムラナオコさんの「おやさいクレヨン ベジタボー」ですね(注3)。野菜と言う自然そのものが生み出す恵みをクレヨンにする、というキムラさんの新しいアイデアがまた、子どもたちの作業を楽しいものにしてくれたと思います。野菜やくだものをキャラクター化してくれた子もいれば、野菜が大好物のキャラクターを描いてくれた子どももいました。
―妹尾さんは近年では、たか丸くんのパパとしてだけではなく、もっと広い形で弘前に関わりを持たれていますね。
妹尾 私の所属するエンジンズが全国で推進している「親子で楽しむ食育 ベジスタ」というプロジェクトの2回目の開催地として2011年11月に「ベジスタinひろさき」を開催させていただきました。それから毎年、弘前ではベジスタを開催しています。今年は11月の予定です。
2013年12月には、グランフロント大阪で「本当の青森りんご」を味わえる産直販売イベント「りんごの惑星」を開催し1万個のリンゴを完売することができました。青森のリンゴの味を、たくさんの大阪の人たちに知ってもらうことができましたね。弘前は、ベジスタというプロジェクトの中でモデルケースといっていいほどの活躍をしてくれています。
―なぜ弘前がモデルケースとして成功できたのでしょうか?
妹尾 弘前の皆さんの意識の高さだと思います。ただ「地元を愛する」というだけではなくて、その愛する地元を盛り上げるために実際に行動に移す、フットワークの軽さや行動力の高さまで含めて、意識が高いんだと思うんですよね。
実は最初に弘前でベジスタを開催するにあたり、私たちは官公庁や大企業の援助がなければ難しいと思っていたのです。しかし弘前の皆さんは、民間で活動されている人たちがしっかりとネットワークを組んで、ベジスタ実行委員会という仕組みを作り上げてくれました。まさに「人の輪」ですね。こういう発想は、私たちにはありませんでした。このあと他の地域でベジスタを開催するにあたって「弘前ではこういう風に取り組みました」と説明させてもらっています。
―弘前の顔として大活躍中の「たか丸くん」ですが、パパとして今後、息子さんに望むことはありますか?
妹尾 これからも末永く、弘前の皆さまに愛していただけるように、元気いっぱい健やかに、精いっぱい弘前のPRを頑張ってほしいと思います。
間もなくLINEから「たか丸くん」スタンプの販売が始まると思いますので、弘前の皆さんにもぜひご活用いただき、少しでも弘前のPRにお役立てていただければと思います。
―妹尾さんから見た弘前というまちの魅力を教えてください。
妹尾 実は今回、弘前に来るにあたって、妻の希望で、弘前城の前で結婚記念写真を撮ることにしたんです。それを関係者の方にお伝えして、当日(4月27日)はひっそりと行うつもりだったんですが……下乗橋の前に着くと、 弘前のたくさんの友人たちが集まっていて、撮影しやすいようにに誘導してくれました。観光客の皆さんも、すごく好意的に動いてくれて、中には「おめでとう」と声を掛けてくれる方もたくさんいらっしゃいました。
弘前の人たちのおもてなしの心、弘前を訪れた観光客の皆さんのお気遣い、満開の桜に美しい弘前城の天守、そして素晴らしい記念写真と、何から何まで最高の思い出になりました。
本当に、弘前は訪れるたびに新しい魅力に気付かせてくれる素晴らしいまちだと思います。ただただ、ひたすら感謝の気持ちでいっぱい。そんな弘前というまちをPRするため、私もこれからもその役に立ち続けることができればいいなと思っています。
―どうもありがとうございました。
注1) あんよ・せらぴー共育研究会 会長として、地域ぐるみで子どもを育む社会の実現を目指している。「ひろさきアフタースクール」は今後も定期的に開催予定とのこと。
注2) アナウンサー・キャスター/モデルとしてテレビやラジオ番組に出演の傍ら、子どもソーシャルワーカーとして地域で暮らす子どもや保護者の支援活動にも従事している。
注3) 青森県産の野菜と米を原料に作ったクレヨン。口に含んでも体には無害で安心だという。青森市のデザイン事務所「デザインワークスSTmind」が販売元となっている。
弘前城築城400年祭マスコットキャラクター公募が始まるまで、弘前のことを何も知らなかったという妹尾さん。その手から生み出された「たか丸くん」は今やLINEの世界にまで活躍の場を広げようとしている。そして妹尾さんもまた、市民先生やベジスタという企画を通して、弘前という地域に貢献してくれている。
市民もまた、妹尾さんと「たか丸くん」の親子から、弘前の新しい魅力に気付かされることが多いはずだ。これからも内と外、両方から弘前の魅力を発見し、それを広めていくのが理想だといえるのではないだろうか。